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<<   作成日時 : 2008/05/04 23:07   >>

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JR下り東海道線に乗って平塚駅を過ぎ、花水川を越えると東海道五十三次・平塚縄手道にも描かれた高麗山(こまやま)が 、広重が描いたままの丸みを帯びて右手に見えてくる。
この山自体を「鎮守の森」とし、その麓に社を構える高来神社【たかくじんじゃ・年輩の人は高麗(こま)神社と呼ぶ】
で、4月の18・19・20日と植木市が開かれた。

土地の古老の話によればこの市のかつての賑わいは現代とは比べものにならず、植木の他にも農具や種苗を売る露店が花水川べりまでぎっしりと並んでいたという。
それでも今なお湘南地区最大とも言われ、ここで買った苗木は滅多なことでは枯れないという噂の植木市には、様々な露店と人が集まる。

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市の中心となる神社の参道からかなり外れた場所で、ここ最近久しく見ていなかった気のするべっこう飴屋が店を構えていた。

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串付きが一本100円、おはじきのような形の飴は袋入りで300円。
べっこう飴といえばやはり当代人気のキャラクターなどをかたどった串付きバージョンが馴染み深いが、買ってもらいはしたものの食べるに従って形の崩れていくドラえもんなどを見るにしのびず、手付かずのまま冷蔵庫の中で忘れ去られていく運命をたどるものが多かった。
そもそも「そのキャラを好き」ということと「そのキャラを食べたい」ということはイコールなのか?何か勘違いしてやしないか大人?などと微妙に感じていた幼心の違和感を払拭できないまま現在にいたる僕にとっては、べっこう飴にしてもこういう「抽象タイプ」のほうが味に集中できてありがたい。

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おじさんの傍らを見ると、武器として使いでもしなければまずそんな形にはならないだろうというほどボコボコになった片手鍋の中で、グツグツと飴が煮立っている。今までの人生では見たことのない沸騰具合、昔「割れないシャボン玉」と称する接着剤のできそこないみたいなものが売られていたが、あれを沸騰させたらこんな風になるのではないかという感じ。材料を聞いてみると
「水あめと白砂糖です。それだけです」という答え。
べっこう飴がそんなシンプルな原料でできているとは知らなかった。
「だから嫌味のない甘さでしょ。咳が出たり喉いためるとこの飴なめるの・・・飴色になるまでは結構時間かかるけどね〜」

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ある一定の温度を下回れば水あめは固まらずべっこう飴にならない。しかし温度を過剰に上げすぎても、砂糖が煮詰まって苦味が生まれてしまい、色もきれいに仕上がらない。
火加減と鍋を下ろすタイミングは、もはやおじさんの体に刻み込まれているのだろう。

「できたよ〜」
往年のペヤングソース焼きそばCM、桂小益が発していた「もいっちょいく〜?」のセリフをも凌駕するほどまろやかな声でおじさんが言った。
やはり何十年と飴を作り続けていると、声音まで水あめのように甘く柔らかくなるのだろうか。
いよいよべっこう飴「成型」の段だ。

鍋を右手に構え、鉄板に向き合った途端、それまで常にたゆたうように発せられていたおじさんの語りは一切途絶え、鉄板の上に長年の技術と偶然が生み出すライブアートが展開されはじめた。
それはまるで協奏曲を通じて常に流れ続けていたオーケストラの響きが突然沈黙し、主役のピアノがカデンツァを奏で始めたような光景。
スポットライトがあったなら、今この半径10メートルぐらいで照らし出されているのはおじさん一人なのは間違いない。

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こういう露店で大きな鉄板が置かれていれば、普通は何かを焼くものだと考えてしまうが、この鉄板は飴を冷まし成型するためにある。
鉄板の下には風通しを良くするためにやぐらが組まれていて、冷却効率を上げる仕組みだ。
それまで「なんで露店に!?」とその存在理由が怪しまれていた換気扇のスイッチが、ここで入れられる。
これも飴を効率よく冷ますための仕掛けだったのだ。

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               「形は不ぞろいなの。ひとっつっつキレーにしちゃったら高くついちゃってしょうがない」

あっという間に固体となったべっこう飴は、ヘラで一気に掻きとられる。
その一部は、いつの間にか集まりその作業を見つめていた子どもたちにサービス。
口に含んだ途端発せられる「あったかーい!」という驚きの声に、
「そりゃそうだ〜できたてなんだから」とおじさんの甘いべっこうボイス。

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「結局これをね、今までに何千万個って作ってきたよ・・・もうここいらで何十年とやってんだ」

このべっこう飴屋さんは平塚の七夕まつり、横浜大鷲神社の酉の市にも店を出している由、べっこう飴とおじさんの語りのまろやかな甘さを味わいたい方は、ぜひ足を運んでみていただきたい。

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
綺麗だなあ、、、ピアスとかネックレスにしてさ、お腹がすいたら食べちゃうとか。ペヤングのあの台詞、イスラエルの空の下、頭に響いてます。ぶふ!!
ささみな
2008/05/05 21:44
べっこう飴、懐かしいなぁ。
お祭行ったら欲しいアイテム、ダントツ一位だもんね。
実際、べっこう飴の何がそんなにときめくのか自分でも覚えてないけど。

去年の植木市は、金魚釣りマスターしたよねー。
あや
2008/05/06 02:05
>みな
ピアスいいね!
「かわいい!琥珀?」「ううんべっこう飴!」

ただ夏場はベタベタになる上、放置しとくと翌日にはアリがたかって真っ黒に・・・。

>あや
たしかにそれが何なのかはわからないけど、べっこう飴には心ひきつける何かがあるんだよな。
でも最近なかなか見ないよー。

去年と同じ金魚屋出てたけど、あれから金魚すくいは今にいたるまで封印中。
磯っこ
2008/05/06 23:46
やあ、このおじさんはベッコウ飴の食べすぎで前歯がないのかしら?

どころで、早く連絡先を送ってけろ。N氏に送らねばならんのじゃから。
ふみどみ
2008/05/07 00:12
昔さー、赤とか緑のべっこう飴あったよね。
密かに憧れてたよ。うちは色付き禁止だった記憶がある。
最近はべっこう飴、人気無くなってきたのかね...
あと、アレも好きだったなー。でっかい飴玉。
まわりに砂糖が付いてるやつ。
あや
2008/05/07 05:12
お菓子屋さんが試食のしすぎで歯をなくすっていうのは結構あるみたいだけど、単純にこのくらいの年代の人は前歯ロスト率高いような気もする・・・。

あ、連絡先送んなきゃいけなかったのね。すまん。

>あや
赤とか緑じゃ、すでに「べっこう」飴じゃないじゃん!
なんかあったような気もするけど。

りんご飴やあんず飴がいまだ人気高いことを考えると、たぶん祭以外でも手軽にべっこう飴っぽいものが食べられるようになったってことなのかも。
純露とか。

でっかい飴玉はバクダンアメですな。
ほっぺたの内側が痛くなってくるやつ・・・。
そういえばあれも最近見ないよ。
磯っこ
2008/05/07 08:53
純露、昔からあったじゃん...
味じゃなくて、形なんすよ、べっこう飴のトキメキは!
あや
2008/05/07 09:27
うむ、そのツッコミ待ってた。

なるほどカタチね。
すると今回のピアス型べっこう飴はアリなのどうなの?
磯っこ
2008/05/07 11:21
ありでしょう。
人の前でいきなりピアス舐め出したら反応がおもしろいかも!
ささみな
2008/05/07 17:30
見せる人は選んだほうがいいね!
磯っこ
2008/05/08 02:59
ここ、子どもの頃友達と毎年行きました。懐かしいです。歩いて行ったし、雨でも行ったな。お小遣い握って。。
ミル
2008/05/17 02:33
おや、実はこんなにコメントたくさん!
ありがとうございます。

子どものころの楽しみは、この植木市とさざんか祭りじゃなかったすか?
さざんか祭り、豆汽車とか走ってて雰囲気よかったのになー。
最近やってないですよねー。
磯っこ
2008/05/18 03:04

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